アイシテルSS

大声を出しているせいか、一気に喋っているせいか、呼吸が乱れて言葉が続かない。



それでも、まだ言い足りない私は深呼吸をして、再び言葉を続ける。



「2人の新居なのに、どうして私1人で決めなきゃいけないの?!最近は伸也さんに会う度に、マンションの資料を見せられて、まともな会話すらしてない!!どこかに連れて行ってくれるわけでもないし!!」



久しぶりに見る、伸也さんの鬼のような表情。



まともに見たら、絶対に怯んでしまう。



だから、なるべく伸也さんの表情は見ないようにしていた。



「私はただ、2人でいれるなら、どこだっていい!!狭くたって汚くたって、どうでもいいの!!」



言ってやった。



「ハァハァ……」



呼吸が乱れて苦しいけど、今まで溜め込んでいたものを、吐き出したお陰でスッキリとしている。

< 6 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop