冥王星2006~仲間からはずれても~
「博士なんだ。すごい!

僕はクライド・トンボーっていうんだ。」

「小学生かい?」

「うん。10さい!」

「そうか。お近づきのしるしに、

なまはげのお面をあげよう。

かぶって帰るとあったかいよ。」

「…ありがと。」

びみょーな顔でも、

せっかくの親切なので有り難く受け取ることにして、

かぶったまま「ばいばい」とローウェル天文台をあとにした。


「またおいで~」

ローウェル博士はにこにこと見送ったが、

クライド少年がすっかり行ってしまってから、

こっそりつぶやいた。


「…ほんとにかぶったまま家に帰るとは…」

こうして、

ローウェル博士と仲良くなったクライド少年は、

しょっちゅう博士の家に遊びに行くようになった。
< 4 / 54 >

この作品をシェア

pagetop