冥王星2006~仲間からはずれても~
どうか。どうか。

伝わってほしいと。

「みなさんに、どうしても言いたい事があって私はここに来ました。

冥王星は、ここにいるクライド・トンボー博士が発見してから76年間、地球と同じ太陽系惑星として、親しまれてきた。

地球の仲間として。変わり者と言われても、受け入れてくれた。だからありがとう。」

カロンは知っている。

この地球上では、たくさんの仲間たちが助け合ったり、他者を受け入れたりして生きていることを。

そして、集団でのいじめや、戦争、仲間はずれも引き起こし、自分自身も傷つきながら、他者を傷つけてしまうということを。

「そして、がっかりさせてしまってごめんなさい。

惑星じゃなくて、ごめんなさい。

本当に惑星じゃないのかどうか、自分でもよくわからないけど。

私をめぐって、遠いからこそ、よく分からないからこそ、みんながいろんな想像を膨らませて、神話と繋げたりして、いろんな物語が生まれた。

惑星からはずれてしまっても、太陽の周りをまわる仲間だと、私は思っていたい。

そして、またいろんな物語の舞台にしてくれるとうれしいです。」
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