フラグ
って言ってきたが興味が無いフリをしていたが俺は「佐知子かな?」って言った。
花「俺は、田中に賭けるで」
健太「よっしゃ!俺は明神に賭ける!」
そんな不純な事を話しながら着替えが終わり更衣室から出て佐知子達を待った。
すぐに佐知子達も更衣室から出て来た。
いつも制服姿と私服姿しか見ていなかったし思春期もあって、かなり刺激が強かった。
とくに田中は、普段はプラスチック製の大きい眼鏡をしているが、プールではさすがに外していたので、全然印象が違う。
目が大きくて、眼鏡がなくなっただけで大人びた雰囲気を出している。
田中の水着は、色は白で全部繋がっているタイプだが肩から胸のラインが細く、さらに胸から下は腰の横が大きく露出しているタイプだった。
佐知子の水着は、茶色で上と下が分かれてるタイプで所々にヒラヒラが付いていて、肩に掛かる部分が紐になっている。
そして、佐知子と田中の胸だ。
あまり見ないようにしてはいたが、やっぱり見てしまう。
佐知子も、若干谷間も出来てて大きい方だが田中は凄く谷間があった。
佐知子「んじゃ、さっそくプール入ろう!」
茜「行こ行こー!」
佐知子達は、ハイテンションで波のあるプールの方に歩いて行く、俺達も一緒に歩いて行くと、花が小さい声で「賭けは俺の勝ちやな」って言って来た。
俺と健太は「・・・」無言の敗北宣言だった。
田中がいないので振り返ると、茜ちゃんの浮き輪を膨らましていた。
そういえば、舞も浮き輪を持って来ていたはずだ、プールの方に歩いて行く舞に「舞!浮き輪は?」と聞いたら「あっ!ロッカーに忘れて来た!取って来る」と言って更衣室に走って行った。
俺は、田中の方に歩いて行って「手伝おうか?」って言ってみた。
「じゃあ、こっち手伝ってもらっていいかな?」
田中は、もう一つ大きい浮き輪を出して手渡してきた。
「あぁええよ、これもしかして田中の浮き輪?」
「うん、私ね泳ぐの苦手なんよ」
ちょっと照れたように田中は言った。
「そうなんや、俺と一緒やな」
「えぇ?意外!川上君も苦手なん?」
「そう俺な、小さい時に溺れた事があってな、それから水恐怖症やってん」
「そうなん!?プールなんか来て大丈夫なん?」
「いや小学校卒業までには泳げるようにはなったで、でもやっぱり得意ではないけどな」
「それなら良かった。じゃあ川上君、私の浮き輪に掴まってていいよ」
「ほんまに?それ助かる!あの波のあるプールって深い方は足付かへんもんな、そういうところはまだちょっと苦手やねん」
「うん、いいよいいよ掴まって」
茜「お姉ちゃんは、茜の浮き輪ちゃんと持っててよ」
「うん、分かってるから大丈夫。はい!茜の浮き輪出来たよ」って言って田中は茜ちゃんに浮き輪を渡した。
「もしかして俺ら3人とも水苦手?あははっ」
「そうみたい、ウフフフフ」
茜「茜は、全然泳げへんねん」
「俺でも泳げるようになったんやし茜ちゃんも泳げるようになるって」
舞が浮き輪を持って帰って来た。
舞「お兄ちゃん、舞のもお願い」
俺「うん」
俺は、舞に膨らました浮き輪を渡した。
俺「よし!佐知子のとこ行ってこい」
舞「うん!一番深いところまで行って来る!」
田中「舞ちゃん、茜をお願いしていいかな?」
茜「えぇ?お姉ちゃん来ないの?」
田中「行くけど、ちょっと先に行ってて茜、すぐにお姉ちゃん追い付くから」
茜「うん分かった!」
舞「茜ちゃん行こ、ちゃんと茜ちゃんの浮き輪持って漕いであげるから」
茜「うん!」
舞と茜ちゃんは、嬉しそうに波のあるプールに走って行った。
膨らました浮き輪を持って3人で波のあるプールに行った。
夏休みではあるが、平日なので人は多くない。
浮き輪に入った茜ちゃんが走ってプールに入って行く、そして田中を見て「田中、俺らも行こうか?」って言った。
すると田中が、「川上君、お願い聞いてもらえへんかな?」
「ん?俺に?」
「うん」
「俺に出来る事やったらええで、何?」
「えっと私ね、眼鏡してないからほとんど見えてないんよ、だから近くにいてくれないかな?」
「あぁ!そういえば、プールやし眼鏡してへんもんな、ええで!なるべく今日は田中の近くにいるようにするわ」
「うん、ありがとう」
「よし!ほんなら舞と茜ちゃんに早く追い付こう」
俺と田中も、波のあるプールに入って田中の浮き輪をグイグイ押して舞と茜ちゃんに一気に追い付いた。
少しずつ深くなっていって茜ちゃんはもう足がプールの底に着いていない。
舞は、茜ちゃんの浮き輪を持って田中は、舞の浮き輪を持った。
4人縦に並んでいる状態だ、更に向こうを見ると佐知子達はいた。
佐知子達の方に進んで行くと浮き輪に入った状態だからか田中が「もうすぐ足が着かなくなる」って言った。
「あいつら、よく浮き輪もないのにあんなところまで行くな」
「凄いね私は怖くて浮き輪なしでは無理やわ」
佐知子達のところに着いた、俺の身長で足はギリギリ着く感じで水は顎のあたりまで来ている。
波が来たら、波に併せて浮く感じだが田中の浮き輪があるから全然大丈夫だ。
佐知子が「あー!美幸ちゃんがやっと来たぁ!」って言って田中の浮き輪に掴まって来た。
田中の浮き輪に、俺と佐知子が掴まってると更に健太が「俺も俺もー!」って言って田中の浮き輪に掴まって来た。
田中の真後ろに俺、右側に佐知子、左側に健太が掴まってる格好だ。
田中「ちょっと浮き輪が沈んで来たよ」
健太「まだ大丈夫やって」
佐知子「波があるってやっぱり面白いわぁ!」
俺「よし!一番深いところまで行ってみようや」
田中「えぇ!ちょっと怖いやん!あっち波高いよ」
健太「大丈夫やって、浮き輪あるから」
花は、遠慮しているのか浮き輪に掴まらずに自力で泳いでる。
舞「花ちゃん!舞の浮き輪に掴まってええで!」
花「ほんまか?そろそろ限界やし助かったわ」
舞の左横に花が掴まった。
一番深い、波が出て来る方近づいてきたら波が大きくなってきた。
佐知子「アップダウンが大きくなって来た!楽しいぃー!」
健太「うわっ!イヤッホー!」
みんなテンションが上がってきたが田中は「転覆しそう」と怖がっていた。
波が出て来る一番深いところまでもうすぐと言うところで、今までで一番大きい波が来て舞の浮き輪を持っていた田中の手が波のうねりが大きくて外れた。
その瞬間、俺、健太、佐知子が田中の浮き輪を持っていたので田中の浮き輪の前方が立ち上がった!
その一瞬を俺は見逃さなかった!
田中が、真っ直ぐ下に沈んで行った。
俺は、すぐにプールの底に真っ直ぐ潜った。
泳ぐのは苦手だが、潜水は得意な方だったので一気にプールの底に向かって泳いだ。
田中は真横になってプールの底にいた。
俺は田中の脇に左腕で抱え込み、プールの底を思い切り蹴ってジャンプするような感じで、水面に浮かぶ浮き輪に右腕を絡ませ田中に浮き輪を近づけた。
「プアッ!!」と言う田中の息継ぎが聞こえた。
すぐ俺は田中に「浮き輪に早く入れ!次の波が来るぞ!」って言った。
田中は、すぐに浮き輪に入って「うわぁー!びっくりしたぁ!」って言ってた。
俺もみんなも笑っていたが、泳ぐのが苦手な人間には怖かっただろうと思った。
だから俺は「とりあえず戻ろうや」って言った。
全員、最大級の波を体験したので浮き輪4列渋滞のままプールサイドに戻った。
田中「ちょっと死ぬかと思った。ウフフフフ」
俺「俺も田中が凄い勢いで沈んで行くから、ちょっとびびったわ。あははっ」
田中「川上君、助けてくれてありがとう」
佐知子「ウチもちょっとびっくりしたわ」
舞「舞ちょっと波が怖くなった」
健太「田中って金づちなん?」
田中「金づちでもないけど、ほとんど泳げへんねん」
花「ほとんど金づちって事やな、ハハハッ」
佐知子「んじゃあ!次は流れるプールにレッツゴー!」
田中「私はちょっと休憩しとくわ」
俺「俺もー」
舞「舞は行くー!」
茜「茜も舞ちゃんと行くー!」
健太「よっしゃ!行こう」
結局、俺と田中だけプールサイドにあるデッキチェアに座ってた。
「俺、飲み物買いに行くけど田中もいる?」
「あ、私お金ロッカーだしいいよ」
「俺、お金持ってるし買って来るから何飲む?」
「え?持ってるの?どこに持ってるの?」
「海パンの裏地に小銭入れがあるねん、そこに小銭入ってるから」
「そうなんや!便利やね!じゃあお金あとで返すから買いに行こっか」
「ええよ、飲み物くらい」
「あかんの!じゃあ行こう」
二人で飲み物を買いに行った、俺はコーラで田中はジンジャーエールを頼んで、さっきのデッキチェアに座って二人で飲んだ。
「ほんまにさっきは、ありがとう川上君」
「ん?ジンジャーエール?」
「んーん、溺れかけたの助けてくれて」
「ええよ、先にあんまり泳げへんの聞いてたからな」
「うん、でもほんまに危なかった。波があるし深いし眼鏡ないからあんまり見えへんし何も出来ひんかった、助けて貰えへんかったら溺れてたわほんまに」
「次にまたあんな事あっても助けるから怖がらんと楽しみぃや」
「うん」
「でも流れるプールは、さすがに足着くから溺れへんし大丈夫や、ウォータースライダーなんかもっと浅いし全体溺れへんな」
「そうやね、波があるプールだけやね」
「まぁあんま気にせんと楽しみぃな、俺ちゃんと田中を見てるから」
「ありがとう・・・」
「気にすんなって」
「うん」
今、田中は何を思って何を考えてるんだろう?と思った。
「これ飲んだら、みんなのとこ行こう」
「そうやね」
ジュースを飲み終わって俺と田中は流れるプールに行って、みんなと合流して楽しんだ。
少しして昼になったので昼食を摂ることにし、みんなで売店に行って各々好きなものを食べた。
俺は焼きそばを食べながら、昼からはウォータースライダー行こうと提案したら全員賛成で、昼からはウォータースライダーで遊ぶ事にした。
ウォータースライダーで遊び始めて、みんな滑っては階段を上がりを繰り返してテンションを上げてた。
田中は、やっぱり最初怖がっていたが2回目からは楽しんでいたみたいだった。
一通り遊んで、田中は休憩行くって言ったので俺も付き合う事にした。
またデッキチェアに座って田中と色々話した。
「川上君、私ね・・・」
「ん?どした?」
「うん、今まであんまり友達とかいなかってん。」
「そうなん?」
「うん、私って人見知りするというか、どう接していいか分からないから自分からは話しかけないし」
「そんな感じするなぁ、ほんでいつも怒ってるし、あははっ」
「怒ってないって!ウフフ」
「確かに田中は話しかけづらいな」
「でも川上君は、私に話しかけてくれた」
「あぁまぁそうやったな」
「何で?何で話しかけてくれたん?」
「んーっ!改めて何で?って言われると何でか分からんけど、あのクラスで俺も話したことある奴ほとんどおらんかったから屋上に弁当持って行ったら田中がいて、同じクラスやし話しかけてみようって思ってん」
「あの時話しかけてくれて、ほんまに良かった」
「こんなみんなでプール来るくらい仲良くなるとは思ってなかったけどな」
「うん、それも全部川上君のおかげやし色々ありがとう」
「何言うてんねん、普通にこうなったんやんやからお礼なんかええわ」
きっとさっき暗かったのは、これが言いたかったんだなって思った。