クビガナイ。
2月28日:快晴
3組の家族が墓参りに来た。
本日も異常なし。
全員事務作業に集中していた。
パラパラパラ…
5月9日:曇り
9組の家族が来た。
一昨年の事件から墓参りに来る家族が
減っていたが、 最近もとに戻ってきた。
全員事務作業に集中した。
一昨年の事件…?
「ねぇ、52年前の日誌が落ちてたりとかしない?」
皆に聞いたけど、52年前のどころか、
50年前の1冊しか日誌はなかった。
「何でそんな事聞いたんだ?」
「あぁ、あのね、日誌に一昨年の事件って書いてあったから…
何かなぁって思って。」
「あー、それは気になるな。
皆で何か調べようぜ。」
隼人の呼び掛けで皆それぞれ事務所を調べ始める。
私はさらにページをめくっていった。
ほとんどは墓参りに来た家族の話。
たまに"一昨年の事件"という言葉がでてくる。
パラ…パラ…
「……あ。
日誌は毎年提出しているらしいわよ。」
有衣が冷蔵庫に貼ってある表を見ながら言う。
そこには1960年から1年単位でチェックができるようになっていて、
『’60~’65年 日誌提出チェック表No.2』
と書いてあった。
どうやらここは1950年代からあったようだ。
「なるほどね…じゃあ日誌はここにはないのかぁ…。」
パラパラパラ…とページを指で送っていくと
気になるページが視界を過ぎていった。
ページを戻る。
8月21日:雨
またあの事件が起きてしまった。
ここは明日で封鎖されることになった。
ここが立ち入り禁止になってしまったら
ここに眠っている人達はどうなって
しまうのだろうか?
墓地を立ち入り禁止にする事など
あってはならない。
だがそう決まってしまった。
今日帰るとき、墓地の入口に立ち入り
禁止の札を掛けなければならない。
最終日の今日、皆事務作業に集中し
すごいページを見つけてしまった気がした。
鳥肌がたった。
これは本当に大変な事に首を突っ込んでしまったのかもしれない。
「…莉沙…?どうしたの?」
みゆに聞かれた。
これはもう隠しておこうなんて考えられない。
私はそのページを声にだして読んだ。
沈黙。