クビガナイ。
「…また起きた事件で掛けようと思ってた札がなんでここにあんだ…?」
綾希が、紫月がデスクの上に置いた札を見る。
「札が掛かっていればこのページは
最後まで書き上げられていただろうな。」
「…何かが…起こったんだね…」
ギィィイ………
「ひゃっ!?」
「なっ…何!?」
「…。」
みゆと有衣が小さく悲鳴をあげる。
綾希と紫月と隼人は、
それぞれ女子を守る体勢になってくれていた。
今の音は外でした。
「…外だよ…。どうする…?」
「どっ…どうするって…」
私の問い掛けにみゆは困る。
私はこうゆう不安な状況は何度も小さい時から
経験していたから耐性があった。
「ここで朝あけるまで待つ?
今…夜中の3時少し前だけど…。」
「まだまだじゃんん…うぅ…」
紫月もみゆの対応に困っている。
「莉沙はどうするんだ?」
「ん〜…私は少し気になるんだよね…
別に音の原因が危ないものとは限らないし。」
「まぁ確かにな。じゃあ俺も調べるかな。」
隼人がいてくれるだけでも心強いのに
みゆまでもが震える声で
「じゃあ外調べよう」って言ってくれた。
それが少女の力なのか、
みゆの優しい勇気なのかはわからないけど…
皆で音の原因を、調べることになった。
さっきと同じドアから出る。
「…え…」
「涼しい」
「てか少し寒いくらいよ。」
肌寒い。
さっきまでの暑さが嘘のようだ。
これは危険信号。
何度もこの肌寒さを感じているからわかる。
この空気の冷たさは、霊が現れる時に時々感じる。
ただ、害のない霊が現れる時には
感じた事は一度もなかった。
…大丈夫…何かあれば私が…。
いつもスマホに付けている御守りを握り締める。
霊感が強かったおばあちゃんが作ってくれた。
何度この御守りに救われたか…
ギィィ…
また音がした。
墓地の奥の方だ。
ゆっくり皆で進んでいく。
砕けた墓石や地蔵の破片が歩く度に
ジャリジャリと音をたてる。
キィィイ…ギギ…
何かが軋む音。
「……クスクスッ」
「え?」
「ん?何?」
「今誰か笑った?」
「え、嫌だ莉沙ったら…冗談言わないでよ…」
…聞こえてない…?
「そ…そっか、ごめんね、聞き間違いだわ、」
確かに聞こえた。