クビガナイ。
ギィィ…ィィイイ…
音がすぐ近くなった。
「……クスクス」
やっぱりだ。また聞こえた。
でも皆を見る限り私にしか聞こえていない。
ィィイ…ギィ…
そうだ、まずは音の原因。
周りを見渡すと、それは墓地の隅っこにあった。
「……あったよ…音の原因…。」
そう。
「祠だ…。」
小さな祠があった。
縦に長くて、2段になっている。
下の扉は閉まっていて中は見えない。
上の扉は少し開いていて、
中に小さな鳥居があるのがチラッとみえる。
「ちっなんだよ。
風で祠の扉が開いたり閉まったりしてただけじゃねーかっ」
「もービビって損したったらっ」
綾希と有衣が笑ってる。
紫月が苦笑しながら扉を閉めようとしている。
でも…何かおかしい。ひっかかる。
「…莉沙…?」
隼人が私の顔をのぞき込む。
「もぉぉ…風のいたずらだったんだ…
よかったぁ…」
…わかった。
そうだ、私が門をこえたあの時から
風など吹いていない。
「紫月その祠に触っちゃダ「クスクスクスッ」
「何!?」
やっと皆にも声が聞こえた。笑い声。
でも遅かった。
紫月は扉に手を掛けたいた。
目の前。
私達の中心に少女は立っていた。
そしてつぶやいた。
「ねぇ…ないの。」
私達の記憶はそこで途切れた。