クビガナイ。
「あ」
細い道が終わり、小さな公園に着いた。
公園には1つだけ電灯があった。
切れかけて不規則にチカチカしているところが
夜中の公園の不気味さを手助けしている。
「ほら、あの倉庫だよ」
紫月が指を指す。
公園の隅の方にある少し大きい倉庫。
そういえば、裏山の墓地に行こうって
提案したのは綾希だけど…
「綾希もその門のことを知ってたの?」
「ん?あぁ、
俺と隼人と紫月で遊んだ時に見つけたんだ
重苦しい雰囲気の門を。
あの時はただ門があるとしか思わなかったけどな。」
なるほどね…
今考えてみるとその門が怪しいってことか
「…にしても…
倉庫は倉庫でボロボロだな。」
隼人の言葉で目をやると…確かに。
どこにでもあるような鉄板の倉庫。
いたずらで文字が彫ってあったり、錆びていたりする。
倉庫の扉もボコボコに凹んでいて
開けるのはむずかしそうだ。
「あったわよぉ」
倉庫の裏から有衣の声が聞こえた。
その声に誘われて裏側に行くと、
綾希と有衣が門を乗り越えて行くところだった。
錆びた鉄の門。
それは、公園を囲むフェンスの間で不自然に、
そして異様な空気を醸し出していた。
2人はフェンスを伝って門をこえた。
「うわ…」
有衣の声が向こう側から聞こえる。
「何?どうしたの?」
「これは…
こっちに来ねえとわかんねえな…」
どうゆうことなんだろう?
紫月、みゆ、私、隼人の順で門をこえる。
門の上から見た感じ何も変わったところはない。
ただ、綾希と有衣とみゆと紫月が
何か気持ち悪そうな顔をしている。
その他は道があるだけだった。
不思議に思いながら地面に着地した時、
皆の表情の意味がわかった。
「…何これ……」
空気。
空気が明らかにちがったのだ。