クビガナイ。
「莉沙ぁ…何も見えないのぉ…?」
みゆが私に聞いてくる。
「ん〜…見えないけど…」
「けど?」
「ここは本当に…んー…なんもないよ、
大丈夫だと思うっ」
「本当?そっか」
本当の事言ってもみゆを怖がらせるだけなんだよね。
小さい時から皆とは違うモノが見えたり、
夢で見た事が本当になったり。
そうゆう事が毎日の様にあった。
そして今、私達の3mくらい前に
小学生くらいの女の子が歩いている。
すごく寂しそうな背中をして。
時々振り向いてこちらを確認しているあたり、
多分皆はその少女に無意識のうちに誘われている。
ただ、ギリギリライターの灯りが届かないところにいるから、顔は見えない。
こんなことをみゆに伝えたら絶対に泣き出す。
そして引き返す事になるだろう。
私には少女が私達を呼んでいるようにしか
思えない。
少女の事を皆に黙っているのは、
寂しそうな背中をした少女が何故私達を
呼んでいるのか知りたかったから。
何かあったら私が責任をとる。
自分が責任をとる。
そんな考えは甘かった。