*約束期限*

*涼介side*


『ピピーッ!』


また瞬が、ゴールを決めた。

もしかしたら勝てるかもしれない。

チームが勝てば、真衣に伝えたいことが伝えられる。

…けど


「くそっ…」


瞬に負けている。

あの時、初めて会った時から――




瞬と初めて会ったのは、中学の時の試合だ。

きっとアイツは覚えていない。

俺らはその試合で、負けた。

10対0

圧倒的だった。


試合終了後のミーティング、どんよりした空気が漂る中瞬と響が通った。


「お前、ほんとすげーのな」

「何が」

「だって足。まだ治ってないんだろ?」


笑いながら話すのを、俺は聞き逃さなかった。

足怪我してて、点の半分以上を入れた…?

何回もドリブルで抜かれた…?


悔しくて忘れられない思い出。


そして、真衣はその日の夜に言ったんだ。


『相手のチーム強かったね。特に、エースみたいな人!涼介も頑張ったら、あの人みたいになれるって!』


励ましの裏のないその言葉が、グッと心に沈んだ。





――『1回でいいから、あの人に逢いたいなぁ』


真衣は今、気づいていない。






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