*約束期限*

*真衣side*


「ねえ真衣」

「ん?」

「涼介、なんか変わったと思わない?」


美月の言葉に視線を移すと、さっきまで指示していた位置から、中へと入っていた。


「あ…」


始まった。


「なになに?」

「こうなると涼介、強いから」


自然と口元が緩んでしまう。

予想通り、5分の間に2回点を入れた。


「わっ、すご!涼介やるじゃん!」


昔っからそう。

なにかを起点に、一気に点を入れてしまう。

…そういえば、中学でボロ負けした試合はそれがなかったんだっけ。


「真衣真衣!あと1点入れたら!」


電光掲示板に目をやる。

試合時間は42分。


あと、3分。


がんばれがんばれ。

着々と時間が進んでいく。


あと2分。

その時、突然桜庭くんの様子が変わった。

咳をして辛そうにしているが、誰も気づかない。


「なんで…っ」


もしかして、発作が――



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