*約束期限*
*真衣side*
そんな桜庭くんに、パスが回った。
ゴール近く。
これを無駄にすると、きっともう次はない。
パスで順々に抜かしていく。
そしてついに、ボールを蹴りあげた。
――お願い、入って…!
『ピーッ』
試合終了のホイッスルと、ゴールの音が同時に鳴る。
「はい、った…」
今までにない歓声と拍手で包まれる。
8対7
涼介のチームが勝ったのだ。
でも今は、それより――
あたしは急いで下に向かった。
「桜庭くんっ!」
思った通りだった。
グラウンドでしゃがみこむ桜庭くん。
みんなは、違った意味で点を入れたエースを囲んでいた。
「桜庭くん、桜庭くん!」
許可など気にしないで、グラウンドへと入っていく。
「…やだよ、またいなくなんないでよっ!」
そこへ向かう途中涙があふれてきた。
「誰か、救急車呼んでくださいっ!」
あたしの声に、呆然としていたメンバーたちは動き出す。
涼介はその場に残り、桜庭くんの背中をさする。
苦しそうにする桜庭くんがあたしを見て、ふっと笑った。
しゃがみこんで抱きしめた。