*約束期限*

*真衣side*


次の日、朝早く目が覚めてしまった。

涼介もついていくと言ってくれたけど、断って一人で行くことにした。

「何かあったらよろしく」とだけ伝えておいた。


面会の開始時間が11時なので、それに合わせて病院に向かった。

桜庭くんの部屋番号は504だった。

ミラクルなことに、その隣の部屋は響くんだった。


――コンコン


前回よりも緊張して、ドアをノックする。

返事はない。

先生はもう大丈夫と言っていたから、そうなはずなんだけど…


「は、入るよ?」


そっとドアを開ける。

真っ白い中に埋もれている。…デジャヴだ。


「お母さんがた、まだ来てないんだね…大変だね」


マスクをつけ目を閉じている桜庭くんに投げかける。

返事は、ない。


「起きてはないよね…まだ意識ないのかな」


広い部屋に、あたしだけの声が響く。

今まで会えなかった分、全部ぶつけてやる。


「あのね」


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