*約束期限*

*瞬side*


俺は今朝早く目を覚ました。

先生も、こんなに早くはありえないと褒めてくれた。

…まあ、一時だけの命なんだろうけど。


親とは特別に朝逢えて、俺が大丈夫そうなのを確認して昼前に帰っていった。

それとほぼ同じ時間に、看護師さんが伝言を伝えてくれた。


「涼介くん、って人からです。もうすぐアイツ来るから。前言ったこと忘れんなよ。だって」

「あ…ありがとうございます」


看護師さんは何か悟ったようににやにやとしている。

この前言ったこと…な。




その伝言通り、11時に部屋のドアがノックされた。

寝ている…ふりをした。

ちょっと騙そうっていうからかい半分で。


「あのね…ずっと、寂しかったよ。いままでずっと一緒だったわけじゃないのに、そんな気がして。だから会えなくて悲しかった。会いたかった…」


俺も。って伝えたら、かっこ悪いかな笑


「急に現れたくせに、急にいなくなって。また出てきて…」


声が震えている。

目を開けたいけど、タイミングが悪い。


「ばか…いなくなっちゃやだよ…

ずっと一緒にいたい。思い出だってまだ、作ってないよ」


今すぐ楠木を抱きしめたい。

いろんな記憶が頭を巡る。

初めて会った日、教室で二人になった日、体育祭でのこと、クリスマス…

まだ足りない。


ごめん。

ごめんな。



「死んじゃやだ…」

< 108 / 124 >

この作品をシェア

pagetop