*約束期限*

*真衣side*


涙が溢れて止まらない。

手で拭って、頬に力を入れる。


「へへっ…だめだなあ」


笑顔を作って、ベッドに腰掛ける。

するといきなり、後ろから抱きしめられた。


「ごめんな」


耳元でする声に、心臓がきゅっと苦しくなる。

ずっと聞きたかった声…


「楠木はだめなんかじゃないよ」

「桜庭く…っ」

「あー!だめ、泣くな!笑」


今すぐにでも顔を見たかったけど、振り返らないでと制される。


「楠木なら」

「うん?」

「…俺がいなくなっても、大丈夫だよな?」


明るい声に震えが混じる。

なんでそんなこと――


「桜庭くんは、どこにもいかないから大丈夫でしょ?」


ありえない。

あたしは今日一番いい声でそう言った。

きっと、桜庭くんも「そうだな」って言ってくれる。


…と思ってた。




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