*約束期限*

*真衣side*


思いもよらない言葉に、ぎょっとする。


「明日死ぬかもしれないし、いま、この瞬間かもしれない」

「なんで…だって今まで、ずっとどこにも行かないってーー」

「…ごめん、嘘、ついてた」


まだ受け入れられない。

死が目前ってこと…?


「もうずっと前からわかってたんだ。これが、俺の期限だって」

「そんな…」

「だけど楠木には…真衣には、言いたくなかった」


カッコ悪いよな、と自嘲気味に笑う。

確かにもっとずっと前に教えてほしかった。

そしたらいろんなことができたのに。

けど…


「ずっと一人で抱えてきたなんて、偉いよ…?

 全然カッコ悪くなんてない。かっこいーー」


またぎゅっと、強く抱き締められる。

それはとてもとても、震えていた。

あたしはもっと強く抱き締める。


「ごめんな、真衣」

「これからはあたしのことも頼ってね、長く生きよう?」





強く強く願った。


1日でも長く、桜庭くんが生きられることを。



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