*約束期限*

*真衣side*



「どういう、こと…」


すぐに部屋番号を確認する。

この前来たところと一緒だ。


ーーだけど、そこに桜庭瞬の文字はなかった。



「部屋、間違えたんじゃねーの?」

「ううん。あってるよ…」


頭が真っ白になっていく。


「どうしよう涼介、桜庭くんどこ行っちゃったの」

「おい真衣、落ち着けって!」

「あたし看護師さんに聞いてくる!」

「ちょっと待てっ」


階段を一気にかけ降りる。

一階の受付へと急いだ。


「ーーすみません!」


受付をしていたのは、初めてこの病院に来たときにあった看護師さんだった。


「あれ?たしか瞬くんの…」


と笑顔で言いかけて、表情が歪んだ。


「もしかしてお見舞いに?」

「そうです。だけど、部屋に行ってもなにもなくて…。病室変わったんですか?」


そこで涼介が追い付いてきた。軽く会釈をする。


「そっか、知らされてないのか…」


看護師さんの物言いに、なにか不吉なものを察する。

嫌な予感…。

あたしは両手を握りしめた。



「瞬くんね






 ーー昨日、旅立ったのよ」




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