*約束期限*

*真衣side*


私の目の前にしゃがみ込む

この2年間、忘れたことのない笑顔の持ち主。


「遅くなった、ごめんな」

「ど...して......?」


幻でも見ているのかと思った。

きっと、手を伸ばせばこの幻影は消えてしまうんだろうーー。


「ん?楠木に会いに、帰ってきた。

本当はもうちょっと早くこっち来れるはずだったんだけど、色々あって。」


少しだけ、大人っぽくなった口調。

本当の、本物の...?


「おい。なんか言えよ?」


半笑いであたしの頭を撫でる。

その手には、確かに体温があって。

夢なんかじゃない。現実なんだって。


実感した途端、涙がとめどなく溢れ出した。


「ちょ、楠木!?」

「...ずっと......ずっと会いたかったあ...」


泣いて下を向くあたしを、桜庭くんはそっと抱きしめた。


「ごめん、なにも言わないで」


抱きしめられて、背中をさすられるだけで幸せ。

それだけで桜庭くんがここにいる、存在しているって伝わってくるから。


「俺、入院してたんだ」
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