*約束期限*
*真衣side*


「空?」

「ああ」

「へー・・・死ぬ気ないなら、それでよかった」


ちょっと笑みがこぼれる。

安心、なのかな?


「・・・まだ死なない」

「え?」


〝まだ”ってどういう・・・

聞き返そうとして顔を上げる。


「桜庭く――」

「それよりっ、俺のこと心配して来てくれたんでしょ!?」

「え、まあ、えっと」

「期待しちゃうよ?」


さっきとは真逆な感じでしゃべりかけてくる。

動揺と胸の高鳴りがする。

・・・ていうか、近いっ!


「さ、桜庭くん!なんともないなら戻りますっ!」

「え~」


拗ねた表情を見せる。

ちょっと可愛い、かな。



私は屋上のドアを開けた。

振り返ると桜庭くんがベンチに寝っころがっていた。

午前中はここにいるらしい。


何か心残りがあるものを、

ドアと一緒に閉じた。






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