*約束期限*
*真衣side*


「あっ、俺ね。ちょうど楠に用があって」

「あたしのこと知ってるの!?」


こんな有名人に知られてるなんて!


「だって、モテるし」

「え?あたしが?笑わせないでよ~」


こんな顔も性格も平凡なあたしが、有名なわけない。


「えと、用って?」





「俺と、付き合ってください」






ぺこりと長身が折れる。

ふわっと自然ないい香りが広がる。


「え?・・・付き合う?」

「そう。付き合お?」


爽やかに笑う。

・・・いやいやいや!


「な、なに言ってるの!?会ったばっかだよ!?」

「前から知ってたし」


ほわっとした感じで言われ、あたしは桜庭くんの横を通りぬけた。


「あれ、だめ?」

「・・・わけわかんない」

「え?」

「軽いやつとは付き合わないです!」


走って、家に入った。

・・・なんなのアイツ。
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