*約束期限*
*涼介side*
走り出す真衣を、追いかけないといけない気がした。
嫌な予感がする。
「桜庭く――」
嬉しそうにそいつの名前を呼ぶ声が、急に止まった。
横を向いていた顔を、正面に戻す。
瞬に、他校の制服を着た女子が抱き付いていた。
「あいつ・・・」
てっきり、瞬も真衣を好きだと思っていた。
なのに。
「・・・行くぞ」
俯く真衣の手を引いて、人通りの少ない方へ歩き出す。
歩いていると、すすり声が聞こえた。
泣いてる。真衣が。
俺は、そっと抱き寄せる。
卑怯なのか・・・?
でも、俺にはこれしかできない。
「りょーすけっ...」
「いいから」
ごめん、なんて言う真衣をただただ抱きしめて、頭を撫でた。
体育祭が終わるまで、俺たちはその場にいた。