*約束期限*
*真衣side*
桜庭くんの体は冷え切っていて、冷たかった。
「…えっとー、楠木?」
「わっ、ごめん!」
急いで腕をほどく。
大胆なことしたなぁと照れくさくて下を見る。
「んーん」
優しい声が聞こえたと同時に、ふわっといい香りが広がった。
…抱き締められてる。
「あったかいから、このまま」
「あ、うん…」
心臓の音がバクバクして、聞こえそう。
あたし変じゃないかな…
「さ、桜庭くん。待っててくれたの?」
「うん。もちろん」
「寒いのになんで――」
「わかってたから。楠木が、来てくれるって」
桜庭くんが離れて、顔が至近距離になる。
すごく、優しい顔をしていた。
「俺、楠木のこと好きだよ」