*約束期限*
*真衣side*
そういうと、桜庭くんはグラウンドでわちゃわちゃやってる響くんを睨んだ。
「あいつ…」
「ほんとにただの、疲れ?」
パッと見わからないが、少し痩せたようにも見える。
「あー、うん。全然」
にっこりと笑う顔に、ドキドキと胸は高鳴る。
だけど普通すぎて逆に心配になる。
「しばらくはサッカーも休みかな」
「そっか…。あっ。あたしが勝手に聞いただけだから響くんのこと悪く思わないでね?」
あたしがそう言った瞬間、桜庭くんの顔は明らかに不機嫌になる。
…?
「響くん?」
「あっ、この前知り合って…」
「だめ」
頭がはてなでいっぱいになる。
「なにが?」と聞こうとして、視界は暗くなった。
「俺のこと苗字なくせに、響のこと下で呼ばないで」
深く伝わってくる振動に、抱き締められてるんだと気づく。
…え!
「桜庭くん、ここ学校…」
離れようとしたとき、サッカー部の人たちの声が聞こえた。
「桜庭~」「ひゅ~」と冷やかしの声。
「あ、ごめん」
桜庭くんはあたしのことを離したけど、恥ずかしくて前を見れない。