*約束期限*

*涼介side*



今日も瞬のいない朝練が始まる。

あいつがサッカーにいないのはきついが、他のことについては嬉しい。


ドリブルの練習をしているとき、ふと通路が目に入った。

あれ…真衣?

真衣はこちらを覗き込むようにしていて、誰かを探しているようだ。



「あ」


しばらくすると久しぶりに見るライバルの姿があった。

ドリブルをやめてそちらの様子を見る。

すっげえ嬉しそうな顔してる…。



瞬が真衣を抱きしめる。

俺は練習を再開しようとした――が。


「…っく」


瞬はこちらを振り返って、俺の目を見る。

いつかもこういう時があった。

きっと真衣はまだ好きだって気づいていなかった。

その時から、なにも変わってないってことか――


「あれ桜庭じゃね?」

「ん、瞬だー」

「らぶらぶすんじゃね~よ!」


他のみんなが囃し立てる中、何も言わずただただ見つめる。

俺は、高くボールを蹴り飛ばした。





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