*約束期限*

*真衣side*


受付で部屋番号を聞き、そのドアの前に立つ。

号室の上には、確かに「桜庭」とある。

本当にここにいるんだ…

震える手で、ドアをノックした。


「はーい」

「し、失礼します…」


ゆっくりと開け音をたてないように入った。

真っ白い部屋の中にあるベットに、桜庭くんはいた。

酸素マスクと腕から点滴を伸ばした彼が。


「え…楠木!?」

「お、はよう」

「なんで…」

「響くんに教えてもらった」


さっきもらった紙を見せた。

見るなり、桜庭くんはふふっと表情を緩めて、座って、と椅子を指した。


「…言わなきゃいけないなーって思ってた」


酸素マスクを下に下げて、そう言った。

今から話されようとしていることに、耳をふさぎたくなる。


「響から聞いたと思うけど、頭に腫瘍あるんだよね」


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