*約束期限*
*瞬side*
しばらくして、楠木は帰って行った。
部屋に再び静寂に包まれた。
「――くそッ」
近くにあったタオルを投げた。
すぐに落下し、俺のすぐ横に落ちていった。
「…」
楠木の前じゃ泣かないって決めてたのに泣いてしまった。
あの様子じゃ、気づいてただろうな…
不安にさせちゃいけない。
後悔させちゃだめだ、ってわかってるのにな。
「ごめん…」
呟いた。
余命宣告のことは言えなかった。
…やっぱり、言わなかった。
今は、一刻も早くよくして一時退院でもなんでもしないと。