*約束期限*
試合終了
*真衣side*
バレンタインから一週間、二週間…一か月経って。
終業式。
桜庭くんは一度も学校に来なかった。
あの日から病院には行っていない。
それは、桜庭くんの願いだった。
『弱ってるとこ見せたくねーし~』
だそうだ。
「ねー真衣っ!試合の日、決まったって!」
春、関東地区でのサッカーの大会。
選抜された学校だけが出場できる、特別な大会。
それに、毎年うちは特別枠で参加している。
「いついつ~?」
「27日っ!次の次くらいの週末」
「そうなんだっ」
あたしは毎年、これに行っている。
…ていうか連れてかれる。涼介に。
ちっちゃい時からこれに出る、出るって。
そういえば、中学の時は出れなくて泣いてたっけ。
「行くよね?」
満面の笑みの美月に、あたしはにっこり頷いた。
「涼介の横断幕作っちゃえば?」
「はっ、何言って…」
顔が赤くなってる。
…かわいー。笑
「桜庭くん、最近来てないね」
美月はグラウンドを眺めた。
もちろん、そこに姿はない。
「うん、疲労だって…」
「ほ~。じゃ、帰りますか!」
伸びをして歩き出す。
そのあとを追おうとして、足を止める。
…戻って、くるよね?