*約束期限*
*真衣side*
春休み…って言っても補修のあたしは、5日間学校に通っていた。
補修が長引いたので、グラウンドの隅で涼介を待つ。
毎日、朝から夜まで練習している。
今日は久々に6時までだというが、普段は8時とか9時とか…。
「…いるわけないか~」
自分で言って、苦笑してしまう。
当たり前のことなのに。
「練習終わったぞー」
遠くから、走る音とともに涼介の声が聞こえる。
顔をあげると、急いで走ってくる姿。
「今日からだったんでしょ?新キャプテン」
「まーな」
桜庭くんはエースとして、涼介はキャプテンと決まったらしい。
いつ帰ってくるかわからないのに10番が渡されるのは珍しい。
…それくらい、桜庭くんは信用されてるんだね。
「がんばってね」
「当たり前」
照れたように鼻をかいた。
それからすぐに、真剣な表情に戻った。
「今度のさ、試合で」
「うん?」
「…俺らが勝ったら、聞いてほしいことがある」
いつも以上に真面目なトーンに驚く。
あたしは、ゆっくり涼介の顔を見た。
あたしを見つめる目には、なにか意志があるように見える。
「うん。わかった」