*約束期限*
*真衣side*
浮かない顔のまま、後半が始まる。
スカウトの人たちも相手ばかりを気にしてる。
「今年勢いないなぁ…」
近くの大人二人が話しているのが聞こえる。
「あのキャプテンも、いまいちパッとしないしな」
「ここももう終わりか?」
なんの関係もない大人に、涼介が笑われている。
無性に腹が立った。
「おーい、ぼけっとすんなあ~!」
からかい交じりに野次を飛ばす。
コートに聞こえたのか、何人かしかめた顔を向ける。
その瞬間、頭で何か切れる音がした。
「――ふざけないで!」
自分でも考えられない大声が出た。
「涼介たちは、真面目にやってるんです!本気なんです!これから逆転とかも、るかもしれないのに…」
「真衣っ」
美月が立ち上がったあたしを座らせようとする。
涙が込み上げてくる目で、きっと睨む。
二人は怖気ついたように視線をコートに戻した。
美月はあたしの背中をポンポンっと叩いてくれた。
コートではまた相手がゴールを決め、歓声が上がる。
もう、だめかなぁ…
――その時だった。
ホイッスルが鳴り、選手交代を示した。
「…真衣っ、真衣!」
身を乗り出した美月が、強く腕を引っ張る。
「――桜庭くん出てるよ!」