料理部の私が手作りチョコを渡したら。
「おい、そういや紗知は?」
不意に紗知…という自分の名前が呼ばれたことでドキリとする。
「部長はあれじゃないですか。彼氏ですよ、きっと。」
こらー!
何勝手に私に彼氏いる疑惑作ってるの!!
たまらず、ガラッと調理室のドアを開けると、私に視線が集中し、サーッと女の子たちが調理室から出ていく
部長が登場したことで、幽霊部員にとっては居づらい空気になったみたい。
まあ、でも。
そんな女の子たちには気づかないふりをして、伸センパイを真っ直ぐ見る。
「あいかわらず、ですね。お元気そうで何よりです。」
おっと、つい憎まれ口を叩いてしまった。
デレデレとチョコをもらっているセンパイが気にくわなくて。
センパイはそんな私の心中を知ってか、知らずか。
「紗知ーお前もあいかわらずだなあ。ちっさくて、クールで、流されない。
もうちょい、可愛いげがあれば最高に萌えるのだけども。」
ニッと笑いながら私の頭をポンポンと。