私は脇役です（仮）

楓side

今日という日を何年待ち続けたことでしょう。

小学生の遠足かと言われる程に早起きをしてしまいました。

早く会いたくて、早く話してみたくて…

朝ごはんを簡単に作って済ませ、少し早いけど家を出ることにします。

もうすでに3年間中学生から通っている校門をくぐり、桜並木をゆっくりと歩きます。

基本的に無表情の私ですが、今日はダメです。すぐににやけてしまいます。

10年以上待ちました。いよいよ……

掲示板前には早すぎて誰もいません。

1-Aこれは決まっていました。

私は主人公の女の子の名前を知りません。

それは、主人公の名前は自分で決めることができるためです。

でも、なんとなく安達美姫…

この可愛らしい名前の方であろうと私の勘がいいました。

教室につくと、ダルそうに黒板に文字を書く先生がいました。

『おはようございます。』
と挨拶をし、私は後ろから2番目、窓際の席に腰をおろしました。

『おはよう。今日から、よろしくな。じゃあ』とだるそうな先生は言って教室から出て行きました。

ポツンと一人になった私はもうすぐもうすぐと思うとドキドキしてドキドキして…ニヤニヤしてしまいそうです。

もう、すでに少し興奮して混乱していますね。

少し読書をして落ち着きましょう。

あまりにも本が面白すぎて、熟読していました。

隣から『おはよう！はじめまして！私、安達美姫！隣いいかな？』と声をかけられました。

読書に没頭しすぎた私は驚いて、隣を見ました。

そこには……

目がパッチリ二重で鼻も整っているにも関わらず、二重？三重？顎のポッチャリ？？いや、もう太い子がいました。

やっと会えた喜びやら、どうしてこうなっているのかで勝手に涙が溢れていました。

美姫さんは驚きで焦っています。

私もあまりの驚きと衝撃で頭の中が大混乱してます。

『……親友になってください。』

なんとか、それだけ絞るように声がでました。