ご懐妊‼ 新装版
全力ですれ違い
新宿で乗り換えて30分。
閑静というか閑散とした駅が夢子ちゃんの最寄り駅だった。
「ウメさぁーん、こっちこっち~」
ロータリーで待っていると、錆の浮いた自転車をこいで、夢子ちゃんがやってくる。
まだまだ寒い3月の夜にミニスカートにサンダルだ。
季節感ゼロ。これが若さ?
「お夕飯食べましたぁ?」
「うん……急にごめん」
「まあまあ、とりあえず寒いんでぇ、コンビニ寄ってうちに行きましょ」
あ、寒いって感覚はあるのね。