ご懐妊‼ 新装版
日比谷公園の横を通り、お堀に沿って歩く。

この辺りはオフィス街なので、土曜の夜はだいぶ静かだ。
遊歩道のように散策できるルートもあり、私たちはぶらぶらと都会の夜道を歩いた。


部長はやっぱり何か言いたいことがあるみたいだ。
もう何ヶ月も一緒に住んでいるからわかる。

この人は仕事ぶりこそ豪快で鬼だけど、性格は慎重で繊細だ。

しかし、長い散歩に付き合っているうちに

お腹が張ってきた!

今日一日、小さい張りは何度もあった。
今回のは結構苦しい。
お腹がカチカチで足の付け根まで硬直しそう。


「ゼンさーん、お腹張っちゃったんで、座っていいですかぁ?」


私はベンチを指差し、嘆願。
部長が顔色を変え、慌てて私の腕をつかみベンチまで引っ張っていく。

いや、そのくらいは歩けますよー。

などなど言う前に、私をベンチに座らせ、部長は自販機に向かってダッシュ。

もー、あの人過保護!

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