ご懐妊‼ 新装版
とりあえず、場の皆さんに真顔でブイサイン。
いやー、愛されちゃっててスイマセン。


「ウメちゃんが無言でノロケてるぞ」


「あの~」



横から夢子ちゃんが口を挟んでくる。
とっておきの話があるって顔。


「私、円満ご夫婦の喧嘩エピソード知ってる~」


「え!なにそれ!聞きたい!」


食いつく社員たちに、慌てる私。

あああの家出事件だ!
言うなよ、夢子~!!



飲み会は21時過ぎに終わった。

居酒屋前の路上で、私は改めて部署のみんなに頭を下げた。


「元気な赤ちゃんを産んできます。ありがとうございました!」


和泉さんが私を抱き締める。
更に小柄な夢子ちゃんまで、腕を伸ばして私に抱き付く。


「ママへの旅!いってらっしゃい!」


「頑張ってくださぁい」


和泉さんが言う。
半泣きの夢子ちゃんも言う。


「頑張れ!ウメちゃん!」


「落ち着いたら会社に見せに来てね」


「産後、また一緒に働こう!」


あたたかい声援に見送られ、
私は部長と場を後にした。
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