ご懐妊‼ 新装版
「促進剤使ったんだけどさ、全然陣痛始まらなくて。そうこうしているうちに、おじいちゃんたら持ち直しちゃったのよ。出す理由なくなっちゃったから、私も一度退院してね。結局、予定日から二日遅れで陣痛が始まってあんたを産んだの」
「え?促進剤が効かないなんてあるの?」
「あんたがそうよ。お医者さんにも言われたけど、いつ出るかを決めるのは赤ん坊なんだってさ。つまり、あんたが『まだ出ない!』って強情張ってたのよ。大変だったんだから」
あらー、それはご迷惑おかけしまして……。
「でもさ、それで、私はわかったのよ。ああ、このお腹の子は私の分身じゃないんだ。私の意思や希望には関係しない、別の人生を歩む命なんだって」
「別の命……」
「そう思ったら、出てこなかったことも納得できたわ。産まれてから、あんたが泣き止まない時もそう思った。この子は私の思うとおりにはいかない。だって、独立した生命なんだものって」
「え?促進剤が効かないなんてあるの?」
「あんたがそうよ。お医者さんにも言われたけど、いつ出るかを決めるのは赤ん坊なんだってさ。つまり、あんたが『まだ出ない!』って強情張ってたのよ。大変だったんだから」
あらー、それはご迷惑おかけしまして……。
「でもさ、それで、私はわかったのよ。ああ、このお腹の子は私の分身じゃないんだ。私の意思や希望には関係しない、別の人生を歩む命なんだって」
「別の命……」
「そう思ったら、出てこなかったことも納得できたわ。産まれてから、あんたが泣き止まない時もそう思った。この子は私の思うとおりにはいかない。だって、独立した生命なんだものって」