ご懐妊‼ 新装版
私のいるフロアは、不動産担当グループのオフィスに、パーテーションで区切った社長ブースのみ。

なので、部内飲み会&社長参加という状況なら、オフィスは空になる。

絶好のチャンスなのだ。


誰もいないオフィスで、私と一色部長は対峙した。


「丸友の件ってのは、何だ?俺は昼からずっとヒヤヒヤしてるぞ。何をやらかした?」


先に切り出したのは部長だ。
私は俯いていた。


お腹を無意識に触る。

ここにいるあんた。
あんたの存在を父親である人に言わないのは不当だよね。



「赤ちゃんがいます」



どストレート。
他に色々考えたはずだった。
なのに、出てきた台詞がこれ……。


「赤ちゃん……」


一色部長が珍しく間抜けに見えるのは、意味がまるで通じていないからだろう。

彼はしばし、黙っていた。

やがて、目に生気が戻った。
頭の中で私の言った意味が符号したようだ。


「な、何ーッ!!!!」


絶叫に近かった。
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