ご懐妊‼ 新装版
一色部長は答えない。


「あ、外に出ました?はいはい、すぐ済むから。えー、ご報告があります。俺、部下の梅原佐波と結婚することにしました」


は?誰に何を言ってんの、この人!?
こーいうところは相変わらずわけわかんない!


「ええ、ずっと付き合ってたんですけど、この度、子どもが出来まして。まだ、小さいんで内密にしてほしいんですけどね。まー、社長のあんたには言っといた方がいいかと……」


「しゃっ社長ぉっ!?」


私は目をむき、叫んだ。
一色部長は構わず続ける。


「これから二人で挨拶に行くんで。そのまま、外で待っててくださいよ。は?内密なんだから当たり前でしょ?5分で行くから」


電話を切った部長を私は呆然と見つめる。


「社長に電話してたんですか?」


「まぁ、俺には親代わりみたいなもんだしな。……どうだ?これで俺の覚悟がわかっただろう?」
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