美術部ってさ!2
「…で?結局『念』って何なわけ?」

椿は改めて、冬馬にたずねた。

「さぁ…想いの強さとか…自分の場合、このモチーフをキャンバスの上に落としたい…って感じですかね…」

「落とすのか?」

「落とすというか、うつすというか…そっくりそのまま描き落としたいという、衝動にかられるというか…」

「あ〜分かります、分かります、その感じ〜」

ヘッドフォンで音楽を聴きながら描いていた秋山が、冬馬の意見に同意した。

「さっぱり分からん…」

「ふふふ…絵に描きとめたいと思うほど、好きなものに出会うなんて、早々ないですけどね…」

描きたいと思えるほど、心惹かれるものに出会えるか否かが、いい絵を描けるか否かの分かれ目なのだろうか…
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