満月~full moon~
それほど、私は挙動不審なのだ。
いつも後ろばかり気にしているのだから。
それでも、気丈に振る舞った。
誰にでも言えることではなかった。
気のせいと言われるのがオチだから。
その日の夜、もう1人の仲間である高木志保に逢った。
高校時代からの仲間だから、何でも話せる相手。
そのため、今朝起きたこと、見たことを全て話した。
テレビのニュースでは、亜弥が亡くなったことを告げていた。
だから、志保も亜弥が亡くなったことは知っていた。
「それって、陽子の気のせいじゃなくて?」
「違うよっ。
人混みだったけど、はっきり聴こえたんだからっ」
志保の言葉に、私は強く言った。