満月~full moon~
「絵美、ご飯終わったら話しがある」
そうお姉ちゃんに言われたのは、恭介さんが亡くなったと知って3日経った時だった。
仕事も終わり、家に帰って2人で夕食をしている時に、神妙な面もちで言われた。
「話しなら今でも……」
私は首を傾げる。
この家には2人しかいないのに、何を改まって話すというのだろう。
「あとがいい」
それだけ言うと、静かにご飯を食べ続けた。
一言も話さずに食べ続けていた。
その様子を見ていたら、私は何も言えなかった。
だから、お姉ちゃんの言う通りにするしかなかった。
これ以上、何か言ったところで答えは返ってこないと思ったから。