満月~full moon~
そのことには驚いた。
まさか、知っている人がいるなんて思わなかったから。
「恭介は、彼氏と親友だったから聴いたらしい。
だけど私は、恭介が志保を好きだという事実を知っていた。
だから、恭介はみんなに言えなかったんだ。
恭介の恋心すら、利用したんだよ」
そこまで言って、一筋の涙が流れる。
お姉ちゃんの涙なんて、初めて見た。
それだけ、後悔しているのだろうか。
「これで、ようやく終われる……」
その言葉に、私は耳を疑った。
後悔ではない。
違うことを考えている気がする。
「終わるって……お姉ちゃん、何を考えているの?」