満月~full moon~
勝手に上がって、私についてきたみたいだけど、そんなことどうでもよかった。
自ら終わらせるつもりだって分かっていたのに、止められなかった。
お姉ちゃんは、すでに息絶えていたのだ。
「行きましょう」
現実を受け止めきれずにいる私に、彼は丁寧に言った。
でも、意味が分からない。
「どこへ……?」
「犯人の元です」
私は、目を見開いて驚いた。
少しだけ、彼が犯人の可能性もあった。
「犯人を知っているの?」
「たぶん……。
それは、あなたも知っている人です」
私の知っている人って、何を根拠に言っているのだろう。