満月~full moon~
「俺だけじゃない。もう1人いるよ」
陸さんを見て、驚きで声が出ない彼女。
そんな彼女をほっといて、陸さんは私の手を引っ張り、彼女と対面した。
「え、絵美さん……!」
私の顔を見て、また驚いている。
だけど、ちゃんと私の名前を呼んだということは間違いないんだ。
「美月ちゃん……」
呟くように、彼女の名前を呼ぶ。
そう、そこにいたのは、同じ会社で働いている優秀な後輩、赤石美月だった。
「何で、絵美さんがここに?
何で、陸がいるの……?」
今度は、美月ちゃんの方が状況を把握出来なくて、狼狽えている。