満月~full moon~
「由佳、もう終わりだ」
そんな美月ちゃんに、陸さんが静かに言う。
「何を、言っているの?」
美月ちゃんの声は震えていた。
思わぬ人物が2人も現れた。
そのうえ、状況も分かっていない。
この中で、全てを把握しているのはおそらく、陸さんだけだ。
そんな陸さんは、ゆっくり美月ちゃんへ近づいていく。
「近寄らないでっ!」
睨みつけるように言うけど、その声はやっぱり震えていた。
陸さんは、その声を無視して近づいていく。
そして、躊躇いもなく腕を掴んだ。
「やめてっ。離してよっ!」
掴まれた腕を、なんとか離そうともがく。