満月~full moon~



「そう、1週間後だね。
また、みんなで行くよね?」


「もちろん、達成くんと恭ちゃんも呼んで行くよ。そのあとは、毎年恒例で飲みに行こう」



大知くんが亡くなってから、仲間でのお墓参りが毎年恒例となっていた。


そのことに話題が移ったことで、今朝あった出来事を忘れていた。

もちろん、亜弥の通夜と葬式には行った。

だけど、それ以来何も起こらなかった。

だから、安心していたんだ。

イヤ、気にしていたとしても、逃げることなど不可能だったのかもしれない。

それほどまでに、あっという間のことだったから。



何もなく1週間が過ぎた。

この頃にはもう、あの鋭い視線を感じることはなかった。




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