満月~full moon~



フェンス際に座り込んだ美月ちゃんに、陸さんは怒鳴った。

それに対して、ビクッと体を震わせて黙り込んだ。



「ごめん、本当にごめん」



なぜか謝る陸さんは、美月ちゃんを抱きしめた。



「……何で、陸が謝るの?」



不思議そうに美月ちゃんが聴く。


私も不思議に思う。

さっき怒鳴ったことを謝っているのだろうか。



「復讐、止められなかった。
由佳がいつもと違うって気づいていたのに、見つけた時には復讐を開始していた。
結局、最後の最後まで止められなかったし、助けられなかった。
由佳の痛みに気づいてやれなかった」



悲痛な表情で陸さんは言う。




< 130 / 137 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop