満月~full moon~
お姉ちゃんと2人で暮らしてした私は、1人ぼっちになった。
だけど、もう30歳。
いくらでも1人で生きていける。
「私は、この街にいるよ。
少しでも由佳ちゃんの力になればいいなと。逢いにも行くよ」
その言葉に、陸くんは安心したように笑った。
「陸くんは、どうするの?」
そう聴いたら、すぐに返事が返ってきた。
「俺もここにいますよ。
由佳の傍にいたいですから」
照れるような表情で言う。
以前から気になっていたことがある。
だけど、この表情で分かった気がする。
「由佳ちゃんが好きなんだね」
「昔、付き合っていたんです」