満月~full moon~
「それじゃあ、お願いしようかな。
今日の会議で使う資料を、彼女が持っているし」
智子は申し訳なさそうに、美月にお願いした。
いつもなら、家まで確認行ったりなどしない。
いくら普段の勤務態度が真面目であろうが、いい大人なのだから、こんな確認はしない。
連絡がつかなければ、無断欠勤扱いにするだけだ。
それに、智子が言った会議資料だって、もう1度出すことも出来る。
必ずしも行く必要はなかった。
だけど、最近の彼女の様子はおかしかった。
挙動不審で、何かに怯えているようにも見えた。
それは、友達が亡くなってからだった。
もちろん、落ち込んでいた。
でもそれ以上に、行動がおかしかった。