満月~full moon~



仲良かったから、あの時少し渋ったんだ。

陽子だけ、乗り気じゃなかった。


でも、そうだとしても今更陽子には聴けない。

結局、今のところ手がかりはなしと言うことだ。



『アタシ、アタシのせいだ』



志保がたっぷり間をあけたあと、消え入りそうな声で言った。



「志保?」


『アタシの……せいだ』



志保の声は震えていた。



『陽子が亜弥の事故現場であった出来事、不安に思っていたのに、真剣に聴いてあげられなかった。
ちゃんと聴いていれば、こんなことにはならなかったのにっ……』



話しているうちに、とうとう志保が泣き出してしまった。


それは、オレらだって同じこと。




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