満月~full moon~



『そうだな。やってみよう』



何かあったら、すぐに連絡を取ると言うことで、電話を切った。


電話を切った恭介は、携帯を見つめながら呟く。



「本当は、美佳じゃない。
志保が恨む相手は、美佳じゃないんだ」



そして、窓の外を見つめて、切なそうに呟く。



「だけど、今更だよな。
俺らが手を下したことに、変わりはない……」



1人呟く恭介の言葉は、一体何を意味するのだろうか。

そんな言葉と共に、静かに夜が明けてゆく。




「こいつもダメかぁ」



高校の時の名簿を広げ、名前にバツを書きながら呟く。

志保と恭介とやると決めたこと。

それは、美佳の兄弟探し。




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